皮膚に赤みや発疹など何もないのにかゆみのみある病気が皮膚掻痒症です。かゆみは全身に出る場合と一部分に出る場合があります。高齢者に多く生じることが多い病気です。
掻痒症は皮膚の乾燥が原因となるものが代表的です。皮膚が乾燥するとバリア機能が低下して外部からの少しの刺激で、かゆみを引き起こします。そのほかは内服薬を原因としたものや、腎臓や肝臓の病気が原因の場合もあります。
診断には採血(血算、白血球分画、BUN、Cre、肝胆嚢系酵素、甲状腺ホルモン、血糖値、腫瘍マーカー)や便潜血、造影CTなどの画像検査を行う場合もあります。薬によるかゆみが疑われる場合は内服している薬やサプリメントのほか生活習慣についても伺い原因を特定していきます。あらゆる検査を行っても原因が特定されない場合は精神障害による皮膚掻痒症の可能性を考えることになります。
掻痒症の症状はかゆみです。そのかゆみの程度はさまざまですが、かゆみにより睡眠が浅くなったり、皮膚にひっかき傷ができることもあります。
ドライスキンを原因とした皮膚掻痒症にはヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド)や尿素含有剤(ウレパール)などの保湿剤を使います。かゆみの強い場合はステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤の内服を行います。症状の改善がなかなか得られない場合は漢方薬(黄連解毒等、六味丸、当帰飲子、牛舎腎気丸)を使うこともあります。
皮膚掻痒症を予防には、入浴などで汚れや汗を落とし皮膚を清潔に保つ日々のスキンケアが大切です。 洗うときにも強くこすらずに適度な洗浄力の石けんをつかってやさしく洗います。適度な温度のお湯で、石けんが皮膚に残らないよう十分にすすぐようにします。 また、普段の生活環境も清潔にし、適温・適湿にすることを心がけ、肌着を洗濯したさいは洗剤が残らないようにしっかりとすすぐようにします。
検査
皮膚瘙痒以外の身体所見を参考に、健康検査にて各疾患に応じた
検査を行い、患者背景に基礎疾患がないことを確かめる(血算、白血球分画、BUN、Cre、肝胆道系酵素、甲状腺
ホルモン、血糖値)などでそれらの疾患を除外する
頑固な瘙痒が長期間続く場合などは、内臓悪性腫 瘍の合併も念頭におかねばならない。その精査として、便潜血、腫瘍マーカーの測定、胸部 X 線、造影 CT な どの画像評価を行う必要がある。
※ 治療の過程でさらに詳しい検査が必要と判断した場合は、連携病院や基幹病院を紹介することもあります。