腎臓は体内の水分を調整したり、老廃物をおしっことして体外に排泄する機能があります。他にナトリウムなどのイオンの調節、酸性・アルカリ性のバランスの調節、赤血球産生の調節、ビタミンDの活性化、不要になったホルモンの不活化など多彩な働きをしています。 この腎臓は、腰のあたりの左右にあり、大きさは約10cmぐらいの臓器です。 腎炎などの病気で血液を濾過する「糸球体」の網の目がつまってしまうと血液を濾過する機能が落ちてしまい老廃物や有害なものが貯まってしまいます。この状態を腎不全といいます。
腎臓の機能が低下して老廃物の排泄が十分に行えなくなると、体内に有害なものが貯まっていきます。以下は腎不全によって起こる症状です。
尿毒症症状には以下があります。
腎不全でカリウムが尿から排泄されないことでカリウムの血中濃度が異常に高くなると、心臓が止まることもあります。症状がない場合でも高カリウムになる事もあります。
腎不全が進行すると体内の老廃物の排泄が十分行われなくなります。そのため、つぎのような症状がおこります。
このまま放置すると死に至ることもあるため、血液透析、連続携行式腹膜透析(CAPD)、腎移植の治療が行われます。
ステージ | 重症度 | 進行度による分類FR(eGFR)(mL/min/1.73) | 治療方針 |
---|---|---|---|
ステージ0 | ハイリスク群 | ≧90(CKDの危険因子を有する) | 慢性腎不全発症のリスクとなる疾患(高血圧、糖尿病など)の治療を中心に行う |
ステージ1 | 腎障害は存在するがGFR(eGFR)は正常 | ≧90 | 上記リスクとなる疾患の治療に加え、慢性腎不全の進行を遅らせる治療を行う |
ステージ2 | 腎障害が存在し、GFR軽度低下 | 60~90 | ステージ1の治療とCKDの進行状況を評価し治療を行う |
ステージ3 | GFR中等度低下 | 30~59 | ステージ2の治療と合併症の治療を行う |
ステージ4 | GFR高度低下 | 15~29 | ステージ3の治療と透析・腎移植などの検討、準備を行う |
ステージ5 | 腎不全 | <15 | 尿毒症症状が現れた場合、腎臓透析や腎移植の導入 |
慢性腎不全の治療は主に慢性腎不全の進行を予防することが目標となります。治療には薬物療法、食事療法などが行われます。薬物療法では、降圧薬、利尿薬、リン吸着薬、カリウム吸着薬、エリスロポエチン製剤、ステロイド・免疫抑制剤、漢方薬などを使って、慢性腎不全の進行を遅らせたり、合併症を予防したりします。
尿検査では尿に含まれ「たんぱく」「糖」「潜血」「白血球」のほか、比重も測定します。腎臓の機能や病変がないかを調べます。検査でわかる状態はそれぞれ以下のとおりです。
血清クレアチニン(Cr)、血清尿素窒素(BUN)、カリウム、ナトリウムなどの値を検査します。血液の状態を調べることで腎臓の状態がわかり、腎障害の早期発見にもつながります。