ビタミンD欠乏症は、体内でビタミンDが欠乏している状態をいいます。ビタミンDは健康な骨の生成に重要な働きを担っています。 ビタミンDは食物として摂取される以外に日光にあたることで皮膚でも作られ供給されます。このビタミンDは主に腸管からカルシウムや、リンの吸収をうながすことで血中にあるカルシウムやリンの濃度を調整することに役立っています。 このビタミンDの経口摂取不良や日光への暴露不足でビタミンDが不足した状態が続くと、低カルシウム血症や低リン血症が起こります。さらにこの状態が続くと、骨粗しょう症、くる病、骨軟化症といった病態が生じます。 ビタミンDは体内に取り込まれたあと、活性を待つ「1,25-(OH)2ビタミンD」と呼ばれるタイプに変換されます。この活性化の過程において異常がある場合にも、ビタミンD欠乏症が引き起こされます。
ビタミンD欠乏症が長期に経過すると低カルシウム血症を代償するために副甲状腺ホルモン(PTH)が上昇して骨を溶かして血中カルシウム濃度を正常に保とうとします。これによって二次性の骨粗鬆症をおこします。さらにビタミンD欠乏症が長期に続くと低リン血症をおこすため、骨の石灰化に必要なハイドロキシアパタイトが形成できなくなり、骨の石灰化不全を生じます。
この低リン血症による骨の石灰化不全が、骨端線が閉鎖する前に起こるとくる病を発症します。くる病では骨の成長に必要な骨端軟骨の石灰化が生じにくいために低身長になります。また、つかまり立ちや独立歩行をするようになって下肢に負担がかかると、足の骨が変形しO脚やX脚になります。また、虫歯を多く発症します。
成人では骨の石灰化不全から、柔らかい類骨という成分を多く含む骨ができ、この病態を骨軟化症といいます。骨軟化症では骨にひびが入るような偽骨折を発症して激しい骨痛や筋力低下が生じます。また上記の二次性骨粗鬆症と相まって骨折が生じることもあります。虫歯も多くなり、また骨軟化症が長期にわたると改善を見込めない関節症や靭帯の石灰化(後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症など)を発症します。
ビタミンD欠乏症の予防にはビタミンDを多く含む食品の摂取や、日光への暴露が挙げられます。ビタミンDを多く含む食材には、キノコ類、卵、魚類などがあります。
ビタミンD欠乏症の治療には、自然型ビタミンD、活性型ビタミンDなどのビタミンDサプリメントんを処方します。また、ビタミンDが欠乏している原因になんらかの病気がある場合は、こちらの治療を行います。ビタミンDは脂溶性ビタミンンになるため適正な容量を守り、過剰に摂取しないような注意が必要です。
詳細な問診・診察
尿検査・血液検査・X線検査
治療
ビタミンD内服薬・定期的に採血