腎臓は不要な老廃物を濾過して体外に尿として排泄する臓器です。 私たちの体に必要な蛋白は通常が尿と一緒に体外に出ることはありません。尿中に蛋白が混じっているということは、腎臓になんらかの異常が発生している可能性があるということです。
タンパク尿とは尿中に排泄されるタンパクのことで、健康な人は尿中に蛋白が排出されることはありません。腎臓にある糸球体というろ過装置で血液中の老廃物や過剰な水分がろ過され、尿のもとである原尿となります。原尿の中で再利用できる水分・ブドウ糖・アミノ酸・塩分・カリウムは尿細管や集合管で再吸収されます。不要となった老廃物と余分な水分が尿として排泄されます。尿中に蛋白が排出されている「タンパク尿」の場合、糸球体や尿細管に異常があることが考えられます。
タンパク尿が出る原因には大まかに3種類があります。その一つは糖尿病性腎症、高血圧、肥満などの生活習慣病が原因でおこります。 2つめは、IgA腎症(慢性糸球体腎炎)、ネフローゼ症候群、血管炎など免疫や遺伝の病気が原因の場合。3つめは腎臓には異常のない起立性タンパク尿があります。 このほかには、風邪をひいた後や、過度の運動、ストレス、睡眠不足、水分不足でなどで蛋白が見られることもあります。毎年の健診で尿蛋白を指摘される場合や、尿が泡立つ、尿の泡がなかなか消えないなどの症状が続く場合は、医療機関に相談ください。
健康診断などで尿タンパクの異常が指摘されても症状がないことがほとんどです。ただタンパク尿を放置することでその後数年で透析が必要になるケースもあります。タンパク尿(2+)(3+)の方は症状が無くても注意が必要です。
尿試験紙法(定性法)の判定基準
判定 | 蛋白濃度(mg/dL) |
(-) | 15mg/dL未満 |
(±) | 15-29 |
(1+) | 30 |
(2+) | 100 |
(3+) | 300 |
(4+) | 1000 |
タンパク尿の原因となっている病気がわかっている場合はそれをまず治療します。糖尿病により腎臓が悪くなっている場合は、まず糖尿病の治療を行います。腎炎などの場合は副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を用いて治療する場合もあります。そのほか、食事のバランスと量を調整し、運動を取り入れる食事・運動療法もあります。
詳細な問診・診察
尿検査・ 血液検査
治療
治療は「1原疾患の治療」「2タンパク尿を増やさない」「3血圧のコントロール」この三つです。1の原疾患の治療とは、例えば糖尿病の人 でも血糖値をきちんとコントロールすれば、腎臓の病気を起こさず、起きても進行を防ぐことができるという意味です。
※ 治療の過程でさらに詳しい検査が必要と判断した場合は、連携病院や基幹病院を紹介することもあります。