アトピー性皮膚炎は子供のころに発症することが多い、皮膚のバリア機能が低下することでかゆみを伴う湿疹を繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎の発症メカニズムはまだわかっていませんが、遺伝や体質などが関与されていると考えられています。ほとんどの場合、成長とともに症状は改善していきますが、成人でも1~3%の方が罹患しているとされています。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下したことで皮膚に異物が侵入しやすくなり、その結果アレルギー反応を引き起こします。皮膚の表層部分の角質層は通常、内部に水分が蓄えられ潤った状態です。内部に蓄えられた水分が何らかの原因で蒸発してしまうとバリア機能の低下がおこります。皮膚のバリア機能が低下するメカニズムは明確には解明されていませんが、近年、皮膚の水分保持を担うたんぱく質であるフィラグリンが少ないために皮膚が乾燥しやすい状態であることがわかってきました。
アトピー性皮膚炎の症状はかゆみを伴う湿疹です。1歳未満で発症し、かゆみを伴う発疹は顔や首、頭皮、うで、脚など広範囲に現れます。発症後1~2ヶ月すると幹部が乾燥して皮膚が厚くなったように変化していきます。成長すると首や膝・かかとの内側など限られた部位にだけ現れるようになります。
アトピー性皮膚炎の治療には皮膚のバリア機能を改善するスキンケアと、かゆみと湿疹を改善する薬物療法になります。アトピー性皮膚炎は再燃を長期間にわたり繰り返しますので、皮膚病変を治療を行ったあとに、保湿外用薬によるスキンケアを行います。これに加えステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を間歇的に(週2回など)塗布し,寛解状態を維持する治療法を行います。
以前は、皮膚病変が改善すると保湿剤を使用したスキンケアを行い再燃時にステロイド外用薬の塗布を行っていました。(リアクティブ療法)この場合、皮膚病変を長期間よい状態に保つことができないため、現在では、定期的にステロイド外用薬やタクロリムス軟膏の間欠塗布を行い、皮膚病変を長期間よいにに保つ治療法が推奨されています。(プロアクティブ療法)
症状のヒアリング
皮膚診察
外用治療・ 内服治療 必要に応じ病勢判断(TARC等)のため採血
1~2週間後にフォロー
徐々に再診期間を伸ばし定期処方
※ 治療の過程でさらに詳しい検査が必要と判断した場合は、連携病院や基幹病院を紹介することもあります。