不眠症は夜間に十分で良質な睡眠をとることができず、日常生活に支障をきたす状態です。不眠症を起こす原因はストレスや飲酒、身体の不調などがあります。不眠症には寝つきが悪い入眠困難と、夜間目覚めてしまいその後眠れない睡眠維持困難、朝早く目がさめてしまう早朝覚醒などがあります。
不眠症の原因としては、乱れた生活習慣、心理的ストレス、心身の病気、アルコールなどが挙げられます。このほか夜勤や深夜営業など、社会の「24時間化」により、不適切なタイミングで光を浴びることもこの原因になっています。人は昼に活動して夜に眠るというのが本来自然なリズムです。夜に光を浴びて活動的になったり、就寝前にスマートフォンを利用することで生活のリズムが狂うことが不眠症を引き起こす要因となります。
心理的ストレスの多い現代社会では日々ストレスがかかった状態で、この状態が続くと睡眠時でも頭が覚醒した状態になり、寝付けなかったり、寝てもすぐに目がさめてしまったりなど睡眠障害が起きます。
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠で構成され、入眠するとノンレム睡眠に入ります。ノンレム睡眠は睡眠の深さから4段階に分けられます。第1段階では覚醒状態から睡眠状態に移行し、シータ波(4~7Hz)が出現します。次に第2段階、第3段階と進むにつれデルタ波(0.5~3Hz)が増加していき、身体がリラックスした状態となり、深部体温も低下します。
この深い眠りであるノンレム睡眠が終わると、レム睡眠になり、急速眼球運動(REM: Rapid eye movement)が出現します。 レム睡眠時に夢を見ます。このノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルは一周期90分で、一晩で4~5回繰り返されます。
メラトニンは、覚醒から睡眠へと自然な入眠を誘う働きがあり、睡眠ホルモンとも呼ばれています。体内時計の働きでメラトニンの分泌が多くなると眠気を感じます。
不眠症には「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」があります。それぞれのタイプについて説明します。
「入眠困難」は夜、お布団に入ってもなかなか寝付けないことで、不眠症の中でもっともおおいものです。
「睡眠維持困難」は眠りについても夜何度も起きてしまうタイプです。年齢を重ねるとこのタイプが多くなります。
「早朝覚醒」は朝早く目が覚めてしまい、その後眠れないタイプです。年齢を重ねると体内時計が前にズレやすくなり、この睡眠障害が出やすくなります。
不眠症の治療には、まず乱れてしまった生活習慣の改善を行います。具体的には食事の時間や就寝時間など生活のリズムを整えることと、アルコールを控え、ストレスをためない生活です。これらで症状が改善しない場合は、薬物療法(オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬)を行います。
睡眠を促進するために使用される薬剤は、以下のように作用時間の違いから「超短時間型」「短時間型」「中時間型」「長時間型」に分類されます。非BZ系薬剤はゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、それ以外はBZ系睡眠薬です。()内は薬剤の商品名になります。
症状のヒアリング
内服治療開始
再診
容体作動薬、認知行動療法が検討されます。
※ 治療の過程でさらに詳しい検査が必要と判断した場合は、連携病院や基幹病院を紹介することもあります。